後編では、ベトナムから来たタイさんの日々の勉強のことや今後の目標についてです。
タイさんはハティンのTHASENCO日本語教育センターに入学した当初からとても熱心に勉強していた印象です。語彙・会話の練習だけでなく発音のことや、リスニングなどにもとても努力していたと思います。特にリスニングについてはよく耳を傾けて根気よくトレーニングしていました。3ヶ月経ったあたりから現場で使う会話の授業を始めましたが、順調に進み難しい語彙や会話を習得していました。
ーーータイさんは今も日本語の練習をしますか。
はい、いつも2時間から3時間勉強をします。仕事から帰ったらシャワーを浴びて晩御飯を作って食べます。そして1時間ぐらい寝ます。それから日本語の勉強をします。
ーーーすごいですね!どんな勉強をしていますか。
専門用語とN4(日本語能力試験JLPTの級、最上級は1級)とみんなの日本語中級です。あとトゥイ先生と会話の練習をします。N3も勉強して冬にテストを受けたいです。
タイさんは日本語の学習を通じて自身のキャリアに大きく貢献できたことに感謝しており、今後も日本語教育への情熱を持ち続けることを語ってくれました。
ーーータイさんはお昼ご飯はどうしていますか。
晩ご飯で作ったものを次の日の朝、お弁当に入れます。
ーーーすごいですね!(私もタイさんを見習わなければ…)
タイさんは、お金の大切さがよくわかっていますから無駄遣いはしません。お得に買うことができるスーパーを自分で調べたり、毎日自炊をし、昼のためのお弁当を作り、朝は早いのでおかずを前日の晩に準備をしておく、などとても堅実な生活をしています。
ーーータイさんはご家族を日本へ呼びたいと言いましたね。それはいつ頃になりそうですか。
来年呼べたら良いです。家族を車に乗せるために運転免許が欲しいです。中津に運転の勉強をするところがあります。そこで勉強したいです。
ーーーああ、教習所ですね!運転免許を取ったらどこへ行きたいですか。
はい、教習所。車があればどこでも行くことができます。妻と子供を乗せていろいろなところへ行きたいです。
車で家族旅行、いいですね!
タイさんのご家族が車で楽しくドライブしている様子が目に浮かびます。ご家族が一緒に暮らすには『家族滞在ビザ』を取得する必要があります。手続きは容易ではないと思いますが上手く行きますように。
あと運転免許証ですが、外国人が日本で取得するためにはいくつかの方法があります。例えば、外国で取得した免許を日本の免許に切り替える方法。そして2つ目は、日本の教習所に通い免許センターで試験を受けて運転免許を取得する方法です。タイさんはベトナム国籍ですので後者。新たに日本で勉強し取得しなければなりません。なかなかそのハードルは高いと思いますが、実は近年、ベトナム語で学科試験を受験出来る県もあります。近い将来タイさんの夢が現実となるように、私もお手伝いできたらと思います。
ーーータイさん、日本での生活や仕事には大変なこともあると思いますが、ご家族のためにもこれからも頑張ってください。いつも応援しています。
はい。先生どうもありがとうございました!
そして私が帰路についた数時間後、タイさんからメッセージが届きました。
楽しかったですね
先生、どうもありがとうございます
初めておすしを食べました
めっちゃ美味しかったです
社会の一員になる、ということは他者との共生や協力を大切にするということです。そして日本語教師は、日本語だけではなく、個人の行動や判断・言動などが社会全体に及ぼす影響をちゃんと想像できる「心」も育てなければなりません。
しかし、タイさんはその「心」をすでに持っています。
この訪問を通じて、私は日本語の教育が生徒たちの人生に影響を与えることを再確認しました。そして何より、生徒の惜しみない努力を垣間見ることができました。
今後も、日本で働くことを計画している方、留学を希望する方、日本語に魅了される方々へのインタビューを通じて、彼らの情熱や夢を紹介していきたいと考えています。お楽しみに!